大寒は二十四節気のひとつであり、寒中見舞いに記載される「寒仕込み」や「寒中」と関係が深いのですが、意味や由来、やることなど詳しく詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、大寒とは何か、いつを指すのか、どのような行事があるのかや、大寒ならではの食べ物の風習について解説していきます。
目次
大寒とは何か
大寒は、二十四節記で冬の最後のおよそ半月間を指します。
毎年1月20日~2月3日にかけてが大寒とされており、大寒の前のおよそ半月は小寒と呼ばれることが特徴で、小寒は1月5日~19日が目安です。
大寒と小寒は合わせて「寒の内」と呼ばれており、寒の内は1年のなかで1番寒く、全国で大雪が降ったり最低気温が記録される時期でもあります。大寒と小寒を合わせた寒の内はおよそ30日間あり、小寒入りすることを寒の入り、大寒が終わったことを寒の明けといいます。
なお、二十四節記では1年の始まりは立春であるため、大寒の最後の日は大晦日として扱われてきました。
大寒の主な行事3つ
大寒には、日本各地で伝統の行事が実施されています。現代では行われる場面や場所が限られるため、見たことや参加したことがないという方も多いでしょう。
大寒の主な3つの行事について、内容や行事の意味を紹介します。
寒の水を汲む
小寒から大寒にかけての寒の内の行事としては、水を汲む「寒の水」と呼ばれるものがあります。寒の水でお酒や味噌を仕込むと特段美味しいとされています。寒の水は雑菌や不純物が少ないため、醤油や味噌、お酒が美味しくなるのだそうです。
また、日本酒は寒の水を使うことを「寒仕込み」もしくは「寒造り」と呼びます。寒の時期に仕込むお酒は低い温度のなかでじっくりと発酵するため、品質が高いお酒ができることで知られています。
寒仕込み
小寒から大寒にかけての30日間に、心身を極める修行をすることです。冷たい水を浴びる、滝に打たれるといった禊をする場合もあります。
寒稽古
武道の行事として寒稽古をしたり、三味線や歌など芸事の寒復習(かんざらい)をします。寒稽古は気温が低く寒いほど良いとされており、気温が低い早朝に行うことが多いです。
大寒には、寒の水を汲んだり寒稽古をしたりといった行事があります。しかし現代、特に都心で行われることは少なく、大寒を実感する機会も少ないといえるでしょう。
大寒の時期におすすめの食べ物
大寒には、大寒だからこそ楽しめる食べ物や、昔から寒い時期に食べると特に美味しいとされてきた食べ物があります。大寒の時期におすすめの食べ物、大寒の時期のみ食べられるものなどを紹介します。
大寒卵
大寒卵とは、その名の通り大寒に生まれた卵を指します。昔の日本では、鶏が寒い季節を乗り越えるために餌を食べて栄養を蓄えていました。また、大寒には卵を産む数が減少するため、卵1つに対する栄養価が高く、大寒の時期に生まれた卵は他の時期の卵と比較して健康に良いといわれています。
さらに、風水においては大寒の時期に生まれた卵は金運アップの意味があるともされていることから、大寒の時期に生まれた大寒卵を食べる風習があるのです。
甘酒
昔の日本では、甘酒は自宅で作ることが多く、甘酒を作る際には寒の水が使われていました。寒の水は品質が高いことから、大寒の時期に仕込んだ甘酒は美味しく新鮮だといわれています。有名な製菓会社では、大寒を「甘酒の日」と名付けたほどです。
味噌
昔の日本では、味噌も自宅で作ることが多く、大寒の時期には寒の水が使われていました。大寒の朝早い時間帯の水は不純物が少なく、腐りにくいとされており、大寒の時期に作った味噌は長期間使えるため重宝されていたのです。味噌は1年中食べられているものですが、大寒の時期には普段よりも味噌を多く食べる風習があります。
大寒の時期に旬を迎える料理や食べ物
旬の食べ物は、栄養価が高く味が美味しいため、積極的に摂取したいものです。そこで、大寒の時期に旬を迎える野菜とフルーツを紹介します。
小松菜
小松菜は気温が低いなかでも育つ野菜であり、霜が降りた後は葉が柔らかく甘くなることが特徴です。小松菜はミネラルやビタミンが多く含まれている野菜で、免疫力向上が期待できるベータカロチンや呼吸器官を保護するビタミンAが含まれています。そのため、寒い時期の風邪を予防するために、積極的に食べたい緑黄色野菜だといえるでしょう。
水菜
水菜は1年を通して販売されていますが、寒さに強い野菜であり、大寒の時期が旬です。疲労回復や、風邪予防に摂取したいビタミンCが多く含まれています。さらに、骨の生成に必要なカリウムも含まれているため、年代を問わず摂取したい食材です。
金柑
金柑は栽培方法が3パターンありますが、大寒にはビニールハウスではなく外で育てたものが販売されます。金柑にはビタミンCが多く含まれており、風邪の予防や咳止め効果が期待できる食べ物としても有名です。また、フルーツのなかではカリウムも多いことが特徴です。
りんご
りんごは、種類ごとに旬の時期に違いがあります。基本的には10月~12月が旬の果物であり、種類によっては1月に旬を迎えるものもあります。
ポンカン
ポンカンは11月~12月に収穫作業をしてから、甘さが出る1月~2月に出荷されます。そのため、大寒の時期に甘くて美味しいポンカンが出回ることが特徴です。
みかん
みかんは、秋の時期に早生まれという品種が販売され、1月には晩生と呼ばれる品種が販売されます。基本的には晩生のみかんは甘さが強く、味が濃いことが特徴です。
ワカサギ
ワカサギ漁は、冬に最も盛んに行われます。ワカサギは骨が柔らかいため、揚げ物にするのがお勧めです。また、ドコサヘキサエン酸やタンパク質が含まれており、疲労回復、免疫力向上などの効果が期待できます。大寒の時期に旬を迎える食べ物は、免疫力や風邪の予防など、寒い時期を健康に過ごすための栄養素が含まれているものが多いことがわかります。
大寒の行事と旬の食べ物で春への準備をしよう
大寒の時期は1年で最も寒い時期であり、自宅で過ごす時間も多いです。大寒の日には、昔から食べられてきたものを使った料理や、旬を迎える食べ物で体力作りをするのがおすすめです。大寒の行事に参加したり、旬の食べ物を使って料理をしたりと、大寒の寒さを実感しつつ春に向けての準備をしましょう。
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