イタリア料理の前菜は店やシェフの技量をはかる基準! 食べすぎるとあとが大変

2022.10.11

イタリア料理には、「前菜」というカテゴリーが存在します。

イタリア語では「アンティパスト」と呼ばれ、パスタ類やメインディッシュの前に食するおつまみのような料理を指します。

この前菜の質でその店やシェフのレベルがだいたい計れるといわれるほど、一連のイタリア料理の中では重要な位置づけにあります。技量だけでなく、料理をする人の想像性や創造性が最も反映されるのが前菜、というわけです。

今日は、イタリア料理における前菜についてご紹介いたします。

古代ローマの饗宴には既に存在していた前菜

イタリア語で前菜のことを「アンティパスト(Antipasto)」と呼びます。

これはラテン語の「Ante-paestum」がそのままイタリア語化したもので、文字通り「食事の前」という意味です。

古代ローマ時代の前菜は、生野菜とそれをつけて食べるさまざまなソースであることが多かったそうです。ちなみに、生野菜を食べるという風習もイタリア料理の特徴。保存の技術が未熟であった時代には、生ものを食することは大変な奢侈であったというわけです。

しかしローマ帝国崩壊後、中世にはこの前菜の習慣が一時消失します。

前菜が復活するのは16世紀に入ってからのこと。

それが今日にまでいたっているアンティパスト=前菜です。

前菜の定番生ハムとチーズ

前菜のメニューは、その土地のその時期の旬の食材を用いることが多く、レストランでは給仕の口から伝えられることも多々あります。

しかしほぼ100%の割合で存在する前菜のメニューが、生ハムやサラミ、そしてチーズの盛り合わせです。

 これらの生ハムやチーズもその土地のものが供されることが多く、生ハム1枚を口にするとレストランがどのレベルにあるのか計れるといわれています。

生ハムやチーズが前菜の定番となった背景には、北イタリアの風習が影響しているといわれています。北イタリアの農村では、朝食と昼食のあいだにエネルギーの補給のために生ハムやチーズを赤ワインとともに口にする慣習がありました。

これが、前菜において生ハムとチーズが定番化した要因とされています。

その生ハムですが、有名なブランドといえばパルマ、サン・ダニエーレ、チンタ・セネーゼなどがあります。実際には、やはりレストランがある地元産のタイプが登場するのが大半。

また、同じ種類のハム類も土地が変わると呼び名が変わるなんていう現象もあります。

チーズも同様です。星の数ほど存在するチーズは、レストランに行くたびに見たこともないタイプが前菜に登場し、その文化の奥の深さを痛感することになるのです。

その他の前菜の定番

生ハムやチーズの前菜は、「冷製の前菜」のひとつとされています。

冷製の前菜には、カルパッチョ、エビのカクテルなどの海の幸、キッシュやチーズ風味のケーキ(甘くないもの)などがあります。

ただし、これらが必ず存在するわけではなく、登場頻度が高いという程度にとどまります。

シェフの想像力がいかんなく発揮される前菜は、そのレストランオリジナルというメニューも非常に多いためです。

また、古代には前菜として食べられていた生野菜は、現代のイタリア料理ではメインディッシュのあとに登場するのが常。

ただし、前菜にも野菜を主原料とするメニューは非常に多く、これまたシェフたちのファンタジックな創造性を実感できます。近年はヴェジタリアンやヴィーガンのメニューも多く、その美味しさはヴェジタリアンならずとも楽しめるものです。

前菜もまた郷土色が濃い!

われわれがイタリア料理と呼ぶものの多くは、それぞれの地域の郷土料理であることがほとんど。特に、パスタはその土地の特徴がもろに反映されています。

実はこれ、前菜も同様。

それぞれの店のオリジナリティが光る前菜も多いのですが、各地域で定番化している前菜ももちろん存在するのです。

 たとえば、バローロなどの美味しいワインで有名なピエモンテ州。

ロールキャベツやタレッジョチーズと特産のクルミを乗せたブルスケッタが有名です。

ミラノがあるロンバルディア州では、ブリアンツァと呼ばれるサラミのブランドやゴルゴンゾーラチーズを使った前菜が数多く登場します。

海の都ヴェネツィアが州都のヴェネトでは、ホタテや鱈を使ったレシピ、アスパラに半熟卵をまぶしたものなどが有名。

ヴェネツィアと同じく強力な海軍で有名なジェノヴァがあるリグーリアも、海の幸が多く登場します。イワシや鱈などのシーフード、タッジャスカと呼ばれる小粒のオリーブ、そして揚げ物が多いのが特徴。

美食の町ボローニャを有するエミーリア・ロマーニャ州では、ラヴィッジョーロと呼ばれるチーズ、ウサギの肉を使った温製のサラダ、ピスタチオ入りのハム「モルタデッラ」などなど。

観光客に大人気のトスカーナ州は、レバーのパテ、豆類、パンと野菜のサラダ「パンツァネッラ」をよく目にします。

ローマがあるラツィオ州は、トマトのブルスケッタやスップリーと呼ばれるライスコロッケが定番。

海のものも山のものも美味しいナポリ周辺では、ムール貝、特産のモッツァレッラチーズを使った前菜が多種。

イタリア人のバカンス先として人気のプーリア州は、さまざまな食材を丸めて揚げ物にした前菜が多く、お酒がどんどん進んでしまいます。

日本人には注意が必要、前菜の量と美味!

高級レストランであれば前菜の量もそれなりに調節されて出てきますが、郊外にあるトラットリアに出向くと前菜の量も半端ではありません。

また、どのメニューも美味しそうで選択に悩むと、「前菜の盛り合わせはいかがですか」と聞かれることもよくあります。これは、いくつかのシェフおすすめの前菜メニューを少しずつ提供してくれるありがたいシステムです。

ところがこうした盛り合わせ、生ハムやチーズの盛り合わせから始まり、レバーのパテ、胃袋の煮込み、さまざまな揚げ物と続くと、それだけでお腹いっぱいになってしまうことも。日本でいうところのおつまみタイプのメニューが多い前菜は、とにかくおいしくて欲張って食べてしまうのも満腹度に寄与する要因です。

 また、イタリアのレストランはメニューの移動も柔軟で、たとえば「つけあわせ」のメニューにあるアーティチョークのフライを前菜にしてもらったり、「メインディッシュ」の項目にある「肉団子の煮込み」を前菜として数人でシェアしたりもできます。

一流のレストランでは難しいかもしれませんが、カジュアルに食事が楽しめる庶民的なレストランやトラットリアで、こんな前菜の楽しみ方もよいかもしれませんね。

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