イタリア料理とは 世界中で愛される料理の特徴と歴史を解説

2022.08.19

日本にかぎらず世界中で愛されているイタリア料理。

パスタやピッツァといったイタリア料理は、すでに日本の食卓や食文化に溶け込んでいるといっても過言ではありません。

イタリア料理はまた、2010年にユネスコ世界無形文化遺産に認定された地中海式食事法の一環としても知られ、健康面でもメリットが多いという特徴もあります。

イタリア料理と聞いて私たちが思い浮かべるイメージと、実際のイタリア料理には相違があるのでしょうか。

今日は、「イタリア料理とは」と題して、詳しくお伝えしたいと思います。

イタリア料理、その起源は

パスタやピッツァに代表されるイタリア料理は、もはや世界中で知らない人がいない食文化です。

このイタリア料理の起源は、いったいどの時代にあるのでしょうか。

イタリア料理は、何世紀にもわたって繰り返されてきた変遷の中で確立したものであり、起源については専門家の間でも意見が分かれています。

一説では、4世紀にまでさかのぼるとも・・・。

いずれにしても、イタリア料理は古代ギリシア、古代ローマ、ビザンチン帝国、ユダヤ、アラブなどなど、多岐にわたる国や民族の影響を受けて発展してきたという点では、専門家たちの間でも意見が一致しています。

1世紀の帝政ローマ時代には、古代ローマでは唯一の料理本がアピシウスによって残されているほか、農学者のカトーや博物学者のプリニウスによって、当時の農作物やワインについての記述も残っています。

ちなみに、現代の人気のラザニアはアピシウスが書き残した「laganum」という料理が先祖とされているのです。

イタリア料理の変遷

ローマ帝国崩壊後、暗黒の中世と呼ばれた時代には、料理に関する文献もあまり残っていません。

しかし、現代まで残るイタリア料理の起源は、いくつか確認することができます。

たとえば、ピッツァという言葉が文献に登場するのは997年のこと。おそらく当時のピッツァは現代のフォッカッチャであったと推測されているのですが、小作人が領主に税金のように納入していたリストのひとつにピッツァの名があるのです。

他のイタリア料理が文献に初めて登場した年号を調べてみると、スパゲッティは1154年、リゾットは1473年、生ハムを表すプロシュートは1545年、モッツァレッラチーズは1570年、ジェラートは1694年、バルサミコ酢は1747年、ティラミスは1855年、カルパッチョは1963年といった具合です。

ルネサンス時代にもなると、当時の貴族やローマ教皇たちに愛された料理のレシピが、マルティーノ・ダ・コモやクリストフォロ・ディ・メッシブーゴといった料理人たちによって書き記されています。

また、料理にちなんだ聖人も少なくありません。

13世紀後半にシチリア島に生きた修道僧フラ・グリエルモは、招待された宴会で権力者に意地悪をされ、石を詰めたパスタを供されます。フラ・グリエルモは奇跡によってこの石をチーズにして、美味しくパスタを食べたという逸話が残されています。

いかにも地中海的な愉快な聖人のエピソードではないでしょうか。

1492年には、コロンブスによってアメリカ大陸が発見され、トマトやとうもろこし、ジャガイモやピーマンがヨーロッパに到来します。

現代のイタリア料理に不可欠といわれるこれらの食材が、実際に食卓に上るようになるのは18世紀まで待たなくてはなりませんでした。

トマトとパスタがコンビを組んだレシピは1803年に登場しています。しかし、トマトを煮込んでソースにしてスパゲッティに絡めるという料理は、1837年が初出でした。

ちなみにイタリア料理の主役パスタは、王侯貴族から貧しい庶民にまで愛された稀有なる食材でした。18世紀から19世紀のナポリには、「マンジャマッケッローニ(道端でパスタを食べる人々)」と呼ばれる光景がゲーテなどの著名人によって書き記されています。これは文字通り、道端でフォークも使わずに3本の指でパスタを食べていた庶民の姿です。

いっぽう同時代の貴族ボンヴィチーノ侯爵は、自家のコックに「パスタは必ず固ゆでにすること」という命令書を残していて、つまりパスタはストリートフードであり貴族の晩餐メニューでもあったことがわかるのです。

好みの形状のパスタにトマトソースを絡め粉チーズを山ほどかけて食べるこの料理は、ロックダウン中のイタリア人にとっても大いなる味方でした。とりあえずトマトソースとパスタさえあればなんとかなる、と考えていたイタリア人は少なくなかったのです。

とはいえ、イタリア料理は現在も発展途上中、といっても言い過ぎではありません。

2017年に、イタリアを代表する料理人グアルティエーロ・マルケージが亡くなった際には、国中が喪に服する勢いで新聞紙面のトップを飾りました。

彼が考案した骨髄を加えるリゾット・アッラ・ミラネーゼは、もはやイタリアでは知らない人がいないほど普及しています。

マルケージに続く高名な料理人たち、マッシモ・ボットゥーラやニコ・ロミートも食文化の担い手としてマスコミによく登場します。一般的な新聞記事にも彼らの登場頻度が高いことが、イタリアにおける料理の重要性を物語っているかもしれません。

イタリア料理の特徴

それでは、イタリア料理の特徴とはなんでしょうか。

まず、地中海に位置する地理的な条件から、オリーブオイルやワインが欠かせないことは言うまでもありません。

また、イタリア料理は1品につき使用する食材が4~8種類と少ないのが特徴です。イタリアでは、日本のように1日30品目を食べることが推奨されるようなことはまずありません。

それよりも、質がよく栄養価の高い旬の食材の食味を生かして、シンプルに食べるほうが重要視されるのです。

また、伝統的なイタリア料理は、高名なシェフよりもむしろ家族の中で代々伝えられてきた「マンマの味」により依存していることが多いといえるかもしれません。

そして、地域の特殊性を生かした食材を主役にするという性質上、イタリア料理はある時期まで非常に閉鎖的でした。つまり、それぞれの家庭に伝わるレシピは、原材料を産する土地の外に出ることはまれであったのです。

文明の発展によって人々の移動が広がり、イタリアを訪れる観光客も増えた時代になって初めて、こうしたイタリア料理が外の世界にも知られるようになりました。

こうした事情を踏まえると、私たちがイタリア料理として頭に描くレシピのほとんどが、実はイタリア各地に根づく郷土料理であることがご理解いただけると思います。

それでは、イタリア料理を代表するメニューはいったいどの地域の郷土料理なのでしょうか。

カルボナーラに見るイタリア料理の真髄

世界で最も愛されているイタリア料理、それはカルボナーラだそうです。

ところがこのカルボナーラ、世界各地でさまざまなアレンジレシピが存在します。

数年前、イタリアではカルボナーラのスキャンダルが勃発しました。

イタリアのパスタ販売大手バリッラが、ソーシャル上で「フランス風カルボナーラ」を紹介したことに端を発します。そのカルボナーラは、キャセロールに玉ねぎとベーコン、乾燥パスタを入れて煮込み、生クリームを加えて最後に生卵を乗せ、イタリアンパセリを飾るというレシピでした。

これにイタリア人は非難ごうごう、バリッラ社も「私たちはあらゆるカルボナーラのレンジバージョンを許容しますが、これは行き過ぎだったかもしれません」とコメントしたほどでした。

日本でも生クリームが使用されることが多いカルボナーラは、ローマを州都にするラツィオ州の郷土料理です。なぜかといえば、ラツィオ州で生産されるグアンチャーレと呼ばれる豚の頬肉と、ペコリーノと呼ばれる塩気の強いチーズが本来のカルボナーラの根幹をなしているためです。そして卵は、卵黄部分だけを使用するのがオリジナルレシピです。

数年前、イタリア人の高名なシェフたちがバターや生クリームやパルメザンチーズを使ったカルボナーラを作る人たちを見て失神するビデオがソーシャル上で話題になりました。

https://www.youtube.com/watch?v=OJMpKCKH1hM

とはいえ、グアンチャーレやペコリーノチーズは世界中のカルボナーラ愛好者のお腹を満たすほどには生産量は多くありません。こうしたアレンジレシピも、イタリア料理から派生した料理として十分楽しめるのではないでしょうか。

日本でもよく知られるようになったアマトリチャーナもラツィオ州の郷土料理で、この場合もグアンチャーレとペコリーノチーズが必須、これにトマトソースを加えることで完成します。

ラツィオ州以外のイタリア国内のレストランでは、よほど観光客が多い大都市をのぞいてはカルボナーラがメニューにないところも少なくありません。

それは、あくまでもラツィオ州の郷土料理であるカルボナーラを作る伝統自体がその地域にないことが理由なのです。外国人観光客ならばともかく、北イタリアのレストランでカルボナーラを食べようという酔狂なイタリア人はほぼいないといってもよいでしょう。

イタリア各地の有名な郷土料理は

それでは、日本でもよく知られているイタリア料理はいったいどの地域の郷土料理なのでしょうか。

まず、日本人も大好きなリゾットから。

イタリアでは北部においてお米の栽培が盛んです。

歴史を紐解くと、ミラノの公爵が米の栽培を奨励し始めたのは1475年。

当時の米はイタリア人にとっては舶来品でした。アジアからアラブ人に伝わり、スペインに到来してのち、スペイン人が支配下に置いていたナポリにもたらされました。ナポリでは地理的条件が合わなかった米の栽培ですが、ナポリ王家とミラノの公爵家は政略結婚で縁戚関係にあり、なんらかの形で米がナポリからミラノに伝わったのでしょう。

当時のミラノ周辺は湿地帯が多く、灌漑施設を完備したいミラノ侯爵は水田を作ることでこれを可能にするという理由もあったようです。

実際に収穫された米があまりに美味しかったため、ミラノ侯爵は米を門外不出と定めました。ところが、盟友であったフェッラーラの公爵にだけは米を進呈したという記録が残っているのです。いくら門外不出にしても、一度漏れてしまった秘密は拡散する運命にありました。

こうして北イタリア中に普及した米ですが、トスカーナ州以南では気候的に米の栽培は向きません。というわけで、リゾットはミラノを中心とした北イタリアの郷土料理となっているわけです。

最もよく知られているリゾット・アッラ・ミラネーゼは、サフランを使用した黄色が特徴の料理。

また、ヴェネト州にはグリーンピースを使ったリゾットの郷土料理があります。

次は詰め物のパスタであるラヴィオリ。

パスタに詰め物をするという料理は、14世紀の文学者ボッカッチョの『デカメロン』にも登場します。

ラヴィオリの中身は、肉、野菜、魚などなどさまざまな食材を、生パスタの中に詰めます。実は呼び名もさまざまで、イタリア人でさえも把握しきれていません。

一般的に、ひき肉を詰めて小ぶりの餃子を丸っこくしたような形状がトルテッリーニ、チーズやホウレンソウなどを詰めて平たくしたものがラヴィオリと呼ばれることが多いようです。

乾燥した空気と日照時間が長い南イタリアでは乾燥パスタが主流ですが、寒い北イタリアでは卵を使ったこうした生パスタが主役となります。

卵を使っているせいか、乾燥パスタよりもボリューミーな感覚を覚える人が多いのではないでしょうか。

ミートソースで有名なボロニェーゼも、北イタリアボローニャの郷土料理。生パス手であるタッリアテッレ(南イタリアでの呼称はフィットチーネ)と合わせて食べることが多いのです。

肉料理や魚料理

日本と同様に海に囲まれているイタリア。イタリア人も日本人並みに魚介類を口にしているイメージがあります。

実際には、通常のイタリアのスーパーにおける魚介コーナーは肉のそれに比べるとかなりスペースが狭く、よほど港に近い町でもないかぎり魚の料理を毎日のように食べることはまれです。

有名なイタリア料理のメインディッシュも肉料理が多いのではないでしょうか。パスタやリゾットと比べると、イタリア料理のメインディッシュは知名度の高さで少し劣るかもしれません。

ラツィオ州ならば子牛の肉と生ハムを合わせたサルティンボッカ、トスカーナ州ならば豪快なビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ、ミラノならばとんかつのようなコトレッタなどが日本でもよく知られているかもしれません。

魚料理は日本でもメジャーなものが少ないといわざるを得ません。

強いていうのならば、南イタリアでよくみられるアクアパッツァでしょうか。鯛などの魚を、オリーブオイルとミニトマトとともにオーブンで調理した料理です。

肉も魚も、それぞれの地域やレストランによって調理法や名前が異なるため、イタリア人もメニューを読んで理解できず具体的などんな料理なのか給仕に尋ねるのが常です。

デザート

デザートも、イタリアは郷土食が濃くなります。シチリア島では、名産のリコッタチーズを使ったデザートがとくに有名です。

しかし、世界的に知名度が高いティラミスやパンナコッタはイタリア全土でも登場率が高いデザートとなってきました。

しかし、レシピはそれぞれのレストランオリジナルのものが多く味わいが異なります。あちこちで食べ比べをするのも楽しいかもしれません。

イタリア人は自国の料理が大好き!

世界中で人気のイタリア料理。

当然のことながら、本場イタリア人の自国料理への自負心は相当強いものがあります。入ったレストランでの料理が気に入らなければ正直にその意を伝えますし、気に入れば絶賛するといった具合。

こうしたイタリア人特有の批判的な精神や大仰な称賛も、イタリア料理の発展のカギとなっているのかもしれませんね。

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