日本人は海外の文化を柔軟に取り入れることが得意な国民性ということもあり、食卓には和食だけでなく洋食が並ぶことも多いです。海外からの食の流入の歴史も長く、和風にアレンジされた洋食も数多く存在します。そんなわけで、和食と洋食の違いを正しく認識している人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、さまざまな側面から、和食と洋食の違いを解説します。
目次
和食と洋食の違いとは?
和食と洋食の違いとしては、食材や料理哲学に関するものがあります。まずは、和食と洋食の違いについて、それぞれの文化や歴史などを交えながら解説します
食材の違い
和食はお米、洋食はパン、という違いは容易に思いつきますが、他にもさまざまな食材の違いがあります。
日本といえば、四季がはっきりとしていることが特徴であり、四季に合わせた旬の食材を取り入れる文化があります。
春はフキノトウやワラビなどの山菜、夏はトマトやトウモロコシなどの野菜、秋はマツタケやサンマ、冬は根野菜や牡蠣など、その時期に一番おいしい食材を楽しむことが特徴です。
洋食にも旬の食材はありますが、国や地域によっては一年を通して寒い場所や、寒暖差が少ない場所もあるため、日本ほど旬の食材を食べる文化が発達していないところも多いです。
塩分量の違い
和食は洋食と比べて、食事に含まれている塩分量が多いといわれています。
WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、成人1日あたりの食塩摂取量は5g未満と定められています。
しかし、国立健康・栄養研究所の資料によると、日本人の塩分摂取量はWHOが定める量の倍である約10gとなっています。
和食に含まれる塩分が多いのは、醤油や味噌などの調味料が原因です。
和食で必ず使われる醤油や味噌は塩分が多く含まれているため、和食を食べる割合が多い人ほど塩分摂取量が増えてしまいます。
洋食においても食塩は重要な調味料ですが、味付けに香辛料やハーブなどを使うことが多いため、和食と比べると塩分摂取量は控えめです。
カトラリーの違い
和食は箸を使い、洋食はフォークやナイフを使うなど、カトラリーにも違いがあります。
箸は日本だけでなく、中国や韓国・ベトナムなどアジア各国でも使用されていますが、和食と箸は特に深い関係があります。
箸は7~8世紀ころに中国から伝わりましたが、それ以前は手づかみで食事をしていました。
箸が一般家庭にも普及したことで、熱い料理や冷たい料理、小さい料理など、和食のバリエーションが増えて、和食文化が発展しました。
和食は単に食べるだけでなく、目で見て楽しむものでもあります。
見栄えを良くするために、食材をさまざまな形状に調理して提供するので、いろいろなものを掴める箸と和食の相性はピッタリだったと言えます。
洋食で使用されるナイフやフォークは、19世紀後半に一般家庭に広まりました。
もともとは、貴族の間でカトラリーが広まったため、さまざまなマナーがあり、現在にも受け継がれています。
料理哲学の違い
和食と洋食では、料理に対する考え方が大きく異なります。
和食は、余計な調味料を加えずに、素材が持っている良さを活かす料理法が好まれます。
「素材の味を活かす料理」という言葉を、TVの食レポなどで聞いたことがあるのではないでしょうか。
日本は豊かな海に囲まれ、新鮮な海の幸が豊富です。また、山間部も多いため山の幸にも恵まれています。
そのため、日本中どこにいても鮮度の高い食材が手に入るので、素材の味を活かすという考えが発展したと考えられています。
これに対し洋食は、香辛料やソースと食材の組み合わせで、繊細な味を引き出すことが得意です。
ヨーロッパは気温が低い地域が多く、野菜が育ちにくいため、常に新鮮な食材が手に入るわけではありません。
特に内陸部では海から距離があり、乾燥させて保存食の状態となった魚介類しか流通しない地域もありました。
そのため、調味料などで味付けをして、新鮮ではない食材でも美味しく調理する文化が発展したのです。
和食と洋食の具体例
和食と洋食には、それぞれ多くの料理がありますが、代表的なものは次の通りです。
和食の具体例
・ごはん
・茶碗蒸し
・味噌汁
・天ぷら
・竜田揚げ
・煮付け
・照り焼き
洋食の具体例
・ハンバーグ
・グラタン
・ビーフシチュー
・パスタ
・コーンポタージュ
日本生まれの洋食
・エビフライ
・とんかつ
・コロッケ
・オムライス
それぞれの代表料理を眺めると、和食・洋食ともに日本の食文化に定着していることがわかります。
日本の「食の洋風化」のメリット・デメリット
近年、日本では和食を食べる文化が衰退して、食の洋風化が進んでいます。ここでは、食の洋風化のメリット・デメリットを紹介します。
食の洋風化のメリット
洋食は気軽に食べられるメニューが豊富で、子どもが好んで食べるメニューが多いです。
また、タンパク質や炭水化物が多く含まれているため、子どもの発育を補助してくれます。
育ち盛りの子どもがいる家庭では、洋食は欠かせないメニューとなっています。
洋食は和食と比べると、塩分摂取量が低くなることもメリットの一つです。
塩分を取り過ぎると高血圧や動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞など、さまざまな病気を引き起こします。
健康診断などで塩分を控えるように言われたら、洋食メニューを増やしてみてはいかがでしょうか。
ただし、洋食でも調理の仕方によっては塩分が多くなってしまうため、薄味を意識することが大切です。
食の洋風化のデメリット
洋食は和食と比べると塩分は少ないですが、糖質や飽和脂肪酸を必要以上に摂取してしまいます。
その結果、栄養素の偏りや生活習慣病になるリスクが高まります。
また、和食を食べる人が減ると、和食文化の衰退が懸念されます。特に若者は食の洋食化の進行が顕著です。
ごはんよりもパン、魚介類よりも肉を好む若者が増えているため、食卓には自然と洋食が並びます。
日本の食文化の良さは、外国の文化を柔軟に取り入れて、バラエティー豊かな料理が並ぶことです。
食事をすべて和食にする必要はありませんが、日本の食文化を残すためにも和食を意識的に食べるようにしましょう。
和食と洋食の違いを理解してどちらも取り入れよう
和食と洋食は、食材や塩分量・料理に対する哲学などに違いがあります。
日本では「食の洋風化」が進んでいますが、和食と洋食のどちらも食べるようにすることが大切です。
シェフくるには、和食・洋食に精通したシェフが揃っているため、自宅で本格的な料理を楽しめます。
それぞれの良さを再認識するためにも、家庭料理だけでなくたまにはプロの料理をご自宅で味わってみてください。