フランス料理に比べるとカジュアル感があるイタリア料理。
気取らずに食べることができるというイタリア料理のメリットが、日本のみならず世界中で愛される要因であることはまちがいありません。
とはいえ、イタリア料理にもマナーやルールは存在します。旅の恥は掻き捨てなどといわずに、イタリア料理をスマートに味わうためのマナーはぜひ頭に入れておきたいものです。
今日は、イタリア料理を食べる際のマナーやルールについてご紹介いたします。
目次
お店の格によって異なるマナー
イタリアで食事をするにあたっては、リストランテからピッツェリアにいたるまでさまざまな種類のお店があります。
もっとも格が高いのがリストランテです。以下、トラットリア、オステリア、ピッツェリア、タヴェルナ、ロカンダといった具合に、庶民的になっていく傾向があります。
リストランテに行く場合には、きちんとした服装で行くのがマナーとなっています。もちろん、観光地にはリストランテと名乗りながらも軽装で入店できる雰囲気のお店もたくさんあります。
しかし、恥をかかないためには、特に夕食の場合には、お店に敬意を払う程度の服装は心がけるのが無難でしょう。
いっぽう、トラットリア以下はそれほど身なりに気を遣う必要はありません。
ただし、近年はこうしたお店の名前の境界線もあいまいになりつつあります。気になるお店の雰囲気や格については下調べしておくのが良いかもしれませんね。
注文時のマナー
いざお店に入って注文する段になると、日本とは少々様子が異なることに気がつくと思います。
まず、イタリアは飲み物はすべて有料。それは、お水であっても同じです。
たいていは着席すると、「とりあえずお水をお持ちしますか?」と尋ねられることが多いのです。
その際には、ガスなしのナチュラルウォーターおよびガス入りの水を注文するのがルールとなっています。
一般的に、リストランテやトラットリアで食事をする場合には、「前菜」「プリモピアット」「セコンドピアット」「つけあわせ」「デザート」に大別されます。
そのため、「前菜としてこれをください」「プリモとしてこれを注文します」といった具合に説明すると、その順番に料理を運んできてくれます。
たとえば、セコンドピアットに「野菜の揚げ物」があったとします。これを前菜として食べることも可能ですので、「野菜の揚げ物を前菜として」と注文すれば問題ありません。
また、前菜からデザートにいたるまですべてを注文する必要はありません。
もちろん、お腹の好き具合でそれらすべてを食べたい場合にはぜひ一通り注文して味わってみてください。
コースの制覇は無理だと思ったら、いずれかを飛ばしても気にする必要はなし!
また、メニューに載っていない「その日のメニュー」を給仕が口頭で説明してくれることが多いのもイタリア料理の特徴。これは、旬の食材などを使ったものが多いので、ぜひトライしてみたいものです。
ワインの注文方法は?
ワインといえば日本では何となくスノッブなイメージがありますが、イタリア料理においては水のようなものです。
ワインリストを見てもピンとこない場合には、給仕に尋ねると注文した料理にあったワインを勧めてくれます。
郷土料理の場合には、地元産のワインを勧められることが大半。
気取って名のあるワインを注文するよりも、安価で気軽な地元産のワインを注文するほうが料理ともマッチするでしょう。
音を立てずに食するのが最重要事項!
日本では麺類を音を立ててすすっても問題ありませんが、海外ではこれはタブーです。
イタリア料理においてスープが登場することは非常にまれですが、スープ類や麺類を音を立てて食することは礼儀に反します。場合によっては、同席者のみならず周りの席のお客さんの顰蹙を買うことにもなるので、これだけは要注意です。
カトラリーについては、リストランテともなるときちんと何本かのフォークやナイフが並びますが、トラットリア以下はとりあえず1本ずつが運ばれて、次の料理とともに別のカトラリーが運ばれてくることもあります。
日本で学ぶテーブルマナーでは、外側のカトラリーから使用することがルールになっていますね。
イタリア料理の場合、これを少しくらい間違えてもそれほど恥ずかしく思う必要はありません。カトラリーを落としてしまったり、前の料理で使い切ってしまった場合には、気軽に給仕に新しいカトラリーを頼みましょう。
パスタを食べるときにはスプーンを使う?
日本では、スパゲッティを食べるにあたって右手にフォーク、左手にスプーンを使用することが多いと思います。
本場のイタリア料理では、スプーンの出番は非常に少なく、フォークだけで食べるのに難儀する場合には左手にナイフをもって補助するというのがエレガントとされています。
ちなみに、パスタの場合はほぼフォークだけで食べるのが通常です。
野菜サラダなど、フォークだけで食べにくい場合には左手にナイフをもって添えるようにするのが理に適っています。あるいは、ちぎったパンを左手にもって補助としてもよいでしょう。
酔っぱらうのはNG
リストランテはもちろん、庶民的な店として知られるトラットリアやオステリアでも、アルコールを摂取しすぎて酔っぱらうのはイタリアではNGです。
遺伝子の関係なのか、イタリアでは日本のような前後不覚に酔ってしまう姿はほとんど見られません。ワインをはじめとするアルコール類はあくまで食事を円滑に進めるためのアイテムであり、酔うことを目的としたものではないという事情もあります。
日本語では「居酒屋」と訳されるオステリアでもこれは同様。節度を持ったアルコール摂取が基本となっています。
食後のコーヒーはエスプレッソ
日本でも食後にコーヒーを飲むのは一般的ですが、イタリアも同様です。
ただし、イタリア料理の食後のコーヒーは日本ではエスプレッソと呼ばれているものが常識とされています。
ブレンドコーヒーを置いてあるのは、外国人観光客が多い観光地のみといっても過言ではありません。また、カプチーノは朝食の飲み物とされているため、食後には飲まないのがルールです。
エスプレッソが苦手な人は、「マッキャートを」というとミルクを足してくれます。
コーヒーが苦手という方は、注文する必要はないので無理はしないようにしましょう。
食後酒のアルコール度数には注意!
デザートやコーヒーが終わると、「食後酒はいかがですか」と尋ねられることがあります。
イタリアでは、お腹いっぱい食べたあとに消化を促す意味でアルコール度数の高い食後酒を飲む人が少なくありません。
リモンチェッロ、グラッパ、アマーロ、ノチーノといったさまざまな種類があります。口当たりがいいからといって調子に乗って飲むと、会計後に立ち上がってふらつくなんてこともまれではありません。
食後酒については、飲みなれない日本人は注意が必要かもしれませんね。
最低限のルールさえ守れば、イタリア料理は肩に力を入れずに楽しめます。
料理は文化のひとつですから、節度を持って楽しむのが大人としてのマナーといえるかもしれませんね。
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