K‐POPや韓国ドラマの人気をきっかけに、韓国旅行を計画したり、韓国料理を日常的に楽しんだりする日本人が増えています。キムチやチヂミといった料理は身近になった一方で、韓国の食事マナーや食文化については、意外と知られていないことも多いものです。
日本と韓国は箸を使う文化を共有していますが、食器の扱い方やお酒の飲み方など、実際の食べ方には大きな違いがあります。知らずにいると、相手に失礼な印象を与えてしまうこともあるかもしれません。
この記事では、基本的な食事マナーから、日本ではNGでも韓国では一般的な習慣の違い、注意したい食べ方まで幅広くまとめています。韓国旅行や韓国人との食事の前に、ぜひ確認してみてください。
目次
韓国の食事マナーとは?日本との違いと文化的な意味
韓国の食事マナーには、日本とは異なる独自の習慣が数多くあります。その背景を知っておくと、個別のマナーもぐっと理解しやすくなります。
儒教文化がベースにある、目上を敬う食事マナー
韓国の食事マナーの多くは、儒教の精神に基づいています。目上の人が箸をつけてから食べ始める、年長者より先に食べ終わらないといった行動は、単なるルールではなく相手への敬意を表す文化的な意味を持っています。日本にも目上を敬う習慣はありますが、韓国ではその意識が食卓の細部にまで浸透しており、知らずに振る舞うとマナー違反と受け取られることもあります。
なぜ器を持たない?食器やテーブル文化の違い
韓国では、食事中に食器を持ち上げないのが基本的なマナーです。日本では茶碗を左手で持つのが一般的ですが、韓国式ではテーブルに置いたまま食べることが礼儀とされています。金属製の食器が広く使われてきた歴史から、熱い汁物の入った器を片手で持つのが難しかったことも、背景のひとつとして挙げられています。
韓国の食事マナー|押さえておきたい基本7つのポイント
韓国式の食卓には、日本とは異なるルールが随所にあります。箸とスプーンの使い方から料理の配置、目上の人への接し方まで、基本を押さえておくだけで食事の場がずっと楽になります。
箸は右・スプーンは左に縦向きに置く
韓国では、箸とスプーンを縦向きに並べて置くのが基本マナーです。日本では箸を手前に横向きに置きますが、韓国式では箸を右側、スプーンを左側に縦に並べます。食卓に着いたらまずこの配置を意識するだけで、韓国の食事マナーへの理解が伝わります。
スプーンと箸の役割分担|ご飯・汁物・おかず
韓国の食事では、スプーンと箸の役割がはっきり分かれています。ご飯や汁物、スープはスプーンで、おかずやキムチなどは箸で食べるのが一般的です。日本のように箸でご飯を食べる習慣はなく、スプーンがメインの道具として活躍するのが韓国式の食べ方です。
箸やスプーンは食器に置かずテーブルへ
箸やスプーンを持ち替えるときは、食器の上ではなくテーブルや箸置きに置くのがマナーです。食器に箸を渡して置く行為は、日本でも渡し箸としてNGとされていますが、韓国でも同様に避けるべき行動です。
料理の配置|温かい料理は右、キムチなどは左
韓国の食卓では、汁物など温かい料理や食べやすいおかずは右側に、キムチや副菜は左側に置くのが一般的です。料理を冷めないうちに食べることを大切にする韓国料理の文化から生まれた習慣です。
大皿料理は直箸が基本|取り箸は使わない
韓国では、大皿に盛られた料理をみんなで囲んで食べるのが一般的なスタイルです。取り箸は使わず自分の箸で直接取る直箸が韓国式のマナーで、小皿への取り分けも基本的には行いません。日本人には戸惑いを感じる方もいるかもしれませんが、韓国ではごく普通の食べ方です。
お皿を持ち上げない|片手で持たないのが韓国式
韓国では、食事中にお皿や茶碗を手で持ち上げないのがマナーです。日本では小さな器を左手で持って食べるのが礼儀とされていますが、韓国ではテーブルに置いたまま食べます。
この習慣の背景には、韓国で長く使われてきたステンレス製の食器が関係しているとも言われています。金属製の器は熱が伝わりやすく、温かい料理が入った状態では片手で持ちにくいため、テーブルに置いたまま食べる習慣が定着したと考えられています。食器を持ち上げると、韓国では作法を知らない行動と見られることがあるため注意が必要です。
目上・年長者を優先する食事の順番
韓国の食卓では、目上の人や年長者が箸をつけてから食べ始めるのが基本マナーです。また、年長者より先に食べ終わることもマナー違反とされており、食事の場では相手への敬意が常に求められます。
これは儒教の精神に基づく習慣で、韓国の食文化に深く根付いています。日本にも目上を敬う意識はありますが、韓国ではより明確にルールとして食事の場に表れている点が大きな違いです。
お酒のマナー|年長者の前では飲み方に注意
年長者と一緒にお酒を飲む際は、飲んでいる姿が見えないよう体を横に向けるか、口元を手で隠しながら飲むのが韓国式のマナーです。グラスを受け取るときは両手を添えるのが礼儀で、相手のグラスが空いたら注いであげる気遣いも大切にされています。
日本人がやりがち!韓国でマナー違反になるNG行動
日本では普通の所作でも、韓国では失礼にあたる行動があります。悪気がなくてもマナー違反と受け取られることがあるため、あらかじめ知っておくと安心です。
器を持って食べるのはNG
食事中に茶碗や小皿を手で持ち上げるのは、韓国ではマナー違反です。日本では器を持って食べるのが礼儀ですが、韓国式ではテーブルに置いたまま食べます。日本の習慣が染みついている分、無意識にやってしまいがちな点です。
クチャクチャ音を立てる・肘をつくのは失礼
食事中に口を開けて音を立てたり、テーブルに肘をついたりするのは、韓国でも失礼な行動です。日本と共通するNGですが、年長者や改まった席では特に意識しておきたい振る舞いです。
食事中に鼻をかむ・姿勢が崩れるのもNG
食事中に鼻をかむことは周囲への配慮に欠ける行動と見なされます。猫背やだらしない姿勢も相手への敬意を欠くとされるため、食卓では落ち着いた姿勢を心がけましょう。
日本の感覚での行動が逆効果になるケース
器を持って食べる、料理を残さず食べきる、取り箸を使うといった日本では丁寧とされる行動が、韓国では逆にマナー違反になることがあります。韓国では料理を一口分残すことが気遣いの表れとされており、完食が必ずしも正解ではない点も知っておくとよいでしょう。
韓国ではOK?日本とは違う食事マナー

日本ではマナー違反とされる行動でも、韓国では問題ない習慣があります。逆に知らないと戸惑いや誤解を生むこともあるため、主な違いを確認しておきましょう。
渡し箸は問題ない文化
日本では箸から箸へ食べ物を渡す行為は、葬儀の骨上げを連想させるためNGとされています。しかし韓国にはそのような風習がないため、渡し箸はマナー違反にあたりません。韓国人が食事中に自然に行っても、失礼な行動ではないと理解しておきましょう。
ご飯を残すのがマナー?一口残す意味と注意点
韓国では料理を完食すると、料理が足りなかったと受け取られることがあるため、一口分残すのが気遣いの表れとされてきました。日本では食べ残しが失礼にあたりますが、韓国式では残すことが相手への配慮になる場面もあります。
ただし、この習慣は現代の韓国では必ずしも絶対的なルールではなくなりつつあります。食品ロスへの意識が高まるなかで、完食を好む人も増えており、相手や場の空気に合わせた対応が自然です。
座り方の違い|立て膝・あぐらは失礼ではない
床に座って食事をする場面では、韓国では女性は立て膝、男性はあぐらをかくのが一般的な座り方です。日本では立て膝が行儀の悪い姿勢とされますが、韓国ではごく自然な食べ方で、韓服を美しく着こなすための習慣が背景にあるとも言われています。
料理別|韓国式の正しい食べ方と楽しみ方
韓国料理には、料理ごとに食べ方の作法があります。知っておくと味わいがぐっと深まるものもあるので、代表的な料理の食べ方を確認しておきましょう。
ビビンバはしっかり混ぜるのが基本
ビビンバは、コチュジャンやごま油をかけてからスプーンでしっかり混ぜて食べるのが韓国式です。混ぜることでご飯と具材・タレが一体になり、本来の味が引き出されます。きれいな盛りつけのまま食べるのは一見丁寧に見えますが、混ぜることを前提にした料理なので、遠慮なく全体をよく混ぜてから食べるのが正解です。石焼きビビンバの場合は、少し待っておこげを作ってから混ぜるとさらに美味しくいただけます。
サムギョプサルは包んで一口で食べる
サムギョプサルは、焼いた豚バラ肉をサンチュやえごまの葉に包み、キムチやみそダレなどと一緒に一口で食べるのが韓国式のスタイルです。包んだものを途中でかじるのはあまり好まれない食べ方とされており、一口で食べられる量を包むのがポイントです。食材をハサミで切りながら食べるのも韓国ではごく一般的な光景です。
チゲ・スープは大鍋を共有するのが一般的
韓国では、チゲや鍋料理をひとつの大鍋のまま食卓に出し、みんなでスプーンで直接すくいながら食べるスタイルが一般的です。個別に取り分けることは少なく、はじめは戸惑う日本人も多いかもしれませんが、韓国ではこれが親しみや距離の近さを表す食べ方でもあります。お店によっては個別に対応してくれる場合もあるため、気になるときは相手や状況に合わせて判断するとよいでしょう。
正しいマナーを身につけたら、『代表的な韓国料理と言えば?定番や伝統料理 最近の人気料理も紹介』を参考に、次に食べるメニューを選んでみてください。
重くて滑る?韓国のお箸(銀箸)を使いこなすコツ
韓国のお箸は日本とは素材も形も異なります。特徴を知っておくと、はじめての食事でも戸惑いが少なくなります。
韓国のお箸の特徴と日本との違い
韓国のお箸はステンレスなど金属製が一般的で、木・竹製が主流の日本とは大きく異なります。平たく細長い形状で重さがあり、先端が滑りやすいのが特徴です。衛生面での利点から広まったとされており、古くから金属製の食器を使ってきた韓国の食文化が背景にあります。
上手に使うためのコツ
金属箸は先端の平たい部分で食材をしっかりはさむと安定しやすくなります。力を入れすぎず、軽く添えるように持つのがポイントです。韓国旅行の前に一度使って感覚をつかんでおくと、現地での食事がより楽しめます。
韓国の銀箸との違いを再確認するためにも、『日本の正しい箸の使い方って?知っておくべき箸のマナー』を一度おさらいしておくと安心です。
よくある疑問Q&A|韓国の食事マナーで迷ったときは?
韓国の食事マナーで日本人が迷いやすいポイントをQ&A形式でまとめました。食事の場で迷ったときの参考にしてください。
全部食べてもいい?
韓国では一口分残すのが気遣いの表れとされてきましたが、現代では完食を気にしない人も増えています。相手の様子を見ながら対応するのが無難です。
取り分けはどうする?
大皿料理は自分の箸で直接取るのが一般的です。取り箸や小皿への取り分けは基本的に行いません。気になる場合は相手に一言添えて対応しましょう。
お酒の席で気をつけることは?
年長者の前では体を横に向けるか口元を手で隠して飲みます。グラスを受け取る際は両手を添えるのが礼儀で、相手のグラスへの気配りも忘れずに。
日本人が一番間違えやすいマナーは?
器を手で持ち上げて食べることが最も間違えやすいマナーです。日本では自然な所作ですが、韓国ではマナー違反にあたるため、食器はテーブルに置いたまま食べましょう。
韓国の食文化を知れば食事はもっと楽しくなる

食事のマナーは、その国の文化や価値観が凝縮された場所です。韓国の食事マナーには儒教の精神が宿り、中国や欧米の食文化とも異なる独自の習慣が根付いています。たとえば中国では取り箸で取り分けるスタイルが一般的ですが、韓国では直箸が自然な文化です。個人皿が基本の欧米とも異なり、大皿をみんなで囲むことに温かさを見出すのが韓国らしさといえます。
マナーを知ることは、ルールを覚えることではなく、相手の文化を尊重することでもあります。基本を押さえておくだけで、韓国旅行や韓国人との食事がぐっと楽しいものになるはずです。グルメとしての楽しみに、食文化への興味を少し添えてみてください。
韓国での食事をより完璧にするために、『「ごちそうさま」の意味や由来とは?韓国語・英語・中国語での表現方法』もあわせてチェックしておきましょう。
シェフくるは、シェフが食材持参でお宅を訪問し、目の前で料理してふるまってくれるサービスです。外出が難しい方でも自宅で気軽にプロの味が楽しめると話題です。登録されているシェフの料理を見ているだけでも気分が上がります。各国の料理を得意とするプロのシェフも在籍していますので、シェフくるのシェフを呼んで、その国の食事マナーを実地で体験してみてはいかがでしょう。
