食事をした後は「ごちそうさま」「ごちそうさまでした」と挨拶をしますが、子供の頃からの習慣で当たり前になっていて、何気なくその言葉を使っている人も多いのではないでしょうか。
「ごちそうさま」は、たくさんの感謝を表わす言葉です。
この記事では、「ごちそうさま」にどのような意味があるのか、韓国語や英語、中国語ではどう表現するのかなど、食後の挨拶について解説します。
目次
「ごちそうさま」とは? 由来や意味を知る
何気なく使っている「ごちそうさま」という言葉には、どのような由来があるのでしょう。初めにその由来や意味を確認しましょう。
ごちそうさまの由来
「ごちそうさま」を漢字で書くと「御馳走様」です。
御馳走様は馳走という言葉の丁寧語です。馳走とはその文字の通り、客のために走り回り、食材を集めて料理でおもてなしすることを指します。
現在のように食材が豊富ではなく、手に入れるのも簡単ではなかった時代に、食事で客をもてなすのは大変なことでした。その苦労が分かっているからこそ、もてなされる側にとってそれはとてもありがたいことでした。
ご馳走様という言葉には、自分に食事を提供するために奔走してくれてありがとう、という意味が込められています。
食後に「ごちそうさま」を言うのは最低限のマナー
「ごちそうさま」は、食事の後に言う日本ならではの挨拶です。
昔と違って食事を用意する苦労はだいぶ軽減されましたが、それでも手間がかかっていることは間違いありません。その苦労に対して感謝の意を表わすのは当然のことです。
食事の後に「ごちそうさま」というのは日本では当たり前のマナーですが、外国ではどうなっているのでしょう。中国語、韓国語、英語を例にとって考えてみます。
中国語に「ごちそうさま」を表わす言葉はない
中国では食事の終わりに挨拶をする習慣はありません。中国語に「ごちそうさま」を表わす言葉もありません。食事の前に「いただきます」という習慣もありません。
食事の前と後に挨拶をする習慣がないため、何も言わないことが一般的で、マナー違反にはなりません。
中国語で「ごちそうさま」と言いたいときは?
文化が違うことを理解していても、食事の後に挨拶をしないことに違和感を覚える人も多いでしょう。誰かの料理を作ってもらったり、ご馳走してもらったりした場合はなおさらです。
中国語で「ごちそうさま」の意を伝えたいときは、「お腹いっぱいになりました」という言葉を伝えると良いでしょう。
中国語で「お腹いっぱいになりました」は「我吃饱了(ウォ チー バオ ラ/Wǒ chī bǎo le)」、「もうお腹いっぱいです」は「我已经吃饱了(ウォ イー ジン チー バオ ラ/Wǒ yǐ jīng chī bǎo le)」です。
「おいしかったのでお腹がいっぱいです。満足です」と伝えたいときには、「私」という意味の「我」に「もう」「すでに」という意味がある「已经(イー ジン)」と言います。いずれも「それでは、行きましょう(お店を出ましょう)」という意味もあります。
「美味しかった」と伝えるのもOK
おいしかったと褒められると、料理を作った人も喜んでくれます。それは万国共通です。
中国語で「とても美味しかった」とを表わす「非常好吃(フェイ チャン ハオ チー/Fēi cháng hǎo chī )」と言ってみるのもおすすめです。
また、「今日のご飯はすごく美味しかった」という意味の「今天的菜真好吃(ジン ティェン デァ ツァィ ヂェン ハオ チー/Jīn tiān de cài zhēn hǎo chī )」も、感謝の気持ちを伝えたいときにおすすめの言葉です。少し長いですが、丁寧にお礼を伝えたいときに役立つでしょう。
韓国語にも「ごちそうさま」を表わす言葉はない
韓国語にも「ごちそうさま」を表わす言葉はなく、同じく「たくさん食べました」「お腹いっぱいです」と伝えることになります。
「たくさん食べました」は「잘 먹었습니다.(チャル モゴッスムニダ)」です。「~었습니다.(オッスムニダ)」は過去形を表現しており、「食べる」と合わせて使うと「食べました」になります。
韓国語では食事の後に決まった挨拶をする習慣がないため、何も言わなくても問題はありません。友人や知人同士であれば、食事が終わった後にそのまま雑談をしたり席を立ったりしてもマナー違反にはなりません。しかし、食事に招かれたときや目上の人との食事では、ひとこと付け加えておくと印象がよくなるでしょう。
韓国をはじめ、外国の方と食事をする際には、日本語で「ご馳走さま」と挨拶をするのがおすすめです。両手を合わせ、「ごちそうさま」と挨拶をすると、言葉が分からなくても感謝の気持ちは伝わります。意味を聞かれて会話の糸口にもなるでしょう。
英語では食べ終わったことを表現する
英語では、「ごちそうさま」と言う代わりに、食事が終わったことを表現します。
「食べ終わりました」はシンプルに「I’m done」です。
例えば、家族で食事をしていて自分だけ先に食べ終わったとき、「私は食べ終わった。席を離れます」とフランクに伝えたいときは「I’m done. Can I go please?」と言います。
一方、自分が食事に招かれた際には、丁寧にお礼を伝えましょう。食事を作ってくれた人へ感謝を伝えるのであれば、「美味しい食事をありがとうございました」という意味の「Thank you for the nice meal」がおすすめです。
「ごちそうさま」と表現したいものの、何を言うべきか迷ったときには「おいしかったです」と感謝を伝えましょう。
「ごちそうさま」の意味を知って色々な場面で使ってみよう
日本で食事の後にする「ごちそうさま」という挨拶の言葉は、客をもてなすために走り回らなければならなかった時代の「馳走」が由来になっています。
現在では、ご飯を作ってくれた人への感謝のほか、生き物の命をいただくことへの感謝の気持ちもこめられています。
外国での食事や外国の方と食事をする際にも、ぜひ「いただきます」や「ごちそうさま」という日本固有の言葉を使って、その意味を説明してあげてみてください。
命や食事に対する考え方は、外国の人が日本食を理解する上でも助けになります。
おいしい料理をいただいて「ごちそうさま」という言葉が自然に出てくる自分でいたいものですね。