一年で一番昼が長くなる日、夏至。一番夜が長くなる冬至、昼と夜の時間が同じになる春分・秋分とならび、古来から大切にされてきた日のひとつです。
しかしながら冬至・春分・秋分と並べると、やや印象が薄い気がする夏至。2021年の夏至は6月21日、今年はお祝いしてみませんか?夏至の食べ物についての豆知識を紹介します。
夏至の食べ物は?
春分の食べ物といえば、ぼたもち。
秋分の食べ物は、おはぎ。
冬至の食べ物は、なんきん(かぼちゃ)など「ん」のつく食べ物。
では、夏至の食べ物は何でしょう?
残念ながら、夏至の食べ物の定番というものは、存在しないんです。
理由はおそらく、夏至が古来から田植えシーズンど真ん中だったからではないかと言われています。
日本では昔から、夏至は田植えシーズンの大切な目印でした。夏至から数えて11日目、7月2日ごろから7月7日までの時期を「半夏生(はんげしょう)」といい、この時期までに田植えを終わらせなければその年の収穫が半減すると言われていたそうです。
大事にされつつも、繁忙期で祝う余裕がない…。日本の夏至はそんな存在だったのかもしれませんね。
日本の行事は夏至より田植えがひと段落した半夏生の時期に多く、関西ではタコ、京都では水無月というお菓子、福井では半夏生鯖を食べる風習があります。「夏越の祓(なごしのはらえ)」の時期でもあり、神社ではお祓いや茅の輪くぐりの行事が催されます。
世界の夏至祭
日本では残念ながら、あまり大々的に祝われていない夏至。しかし世界には夏至祭が行われる地域がたくさんあるんです。
太陽のエネルギーが1年の中で最も高まる日、生命エネルギーが高まる日とされ、恋のお祭りになる地域が多いとか。ヨーロッパでは夏至の夜に男女の縁結びや占いをするおまじないがたくさんあり、夏至前後に結婚する人も多いそうです。
北極圏に近い国、北欧などでは夏至が白夜になるため、大々的にお祝いします。大きなかがり火をたいて周りで踊ったり、子どもたちは花かんむりをかぶったりしてお祝いするそうです。
スウェーデンの夏至祭のメニューは、ニシンの酢漬け、新じゃがをハーブと一緒にゆでたもの、いちごの3つが定番。ビールやシュナップスと呼ばれる蒸留酒を飲みながら、明るい夜を楽しみます。
スペインやドイツなどでは火祭りが行われます。一年で最も夜が短い夏至は、悪霊退治に最適の日。夏至を境に勢いを失っていく太陽を励まし、作物がよく育つよう願いもこめて、盛大に火を焚いてお祝いするそうです。
スペインの火祭りでの定番フードは、ブニュエロ(Buñuelo)と呼ばれるカボチャの揚げドーナツ。屋台で揚げたてを頬張るのが火祭りの楽しみなのだそうです。
現代日本の夏至イベント
田植えの時期が関係なくなった現代日本では、「夏至の日にキャンドルナイトをする」という文化が少しずつ広まっています。
発端は有機野菜や自然食品の販売を行っている「大地を守る会」と、ラジオ放送局「J-WAVE」の主催で2003年から始まったムーブメント「100万人のキャンドルナイト」。
「でんきを消して、スローな夜を」をスローガンに、夏至と冬至の日の夜20:00-22:00の2時間、電気を消してキャンドルの明かりで過ごしてみようというイベントが行われています。
夏至の日にはラジオで特別番組が放送されたり、有機野菜のクッキングイベントやYouTubeでライブイベントが組まれたりします。
電気を消して、キャンドルの明かりの下で食べるご飯は普段と一味違うように感じるもの。ぜひ参加してみてくださいね。
一年で一番昼が長い夏至をお祝いしよう
日本ではこれといって決まった食べ物があるわけではない夏至ですが、この時期に旬を迎える冬瓜やハモなどの季節食材を食べてみたり、世界の夏至祭の料理を作ってみたり、キャンドルナイトに参加してみたりして、楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
ぜひ「1年で一番昼が長い日」の食事を楽しんでみてください。
出張シェフサービス「シェフくる」では、初夏の特別メニューをご用意しているシェフも多くいます。特別な日の演出や夏バテ防止として、ぜひご利用ください。