意外と知らない日本酒!醸造、甘口/辛口、火入れ、熟成など違いを全部紹介します!

2021.06.08

居酒屋や酒蔵で美味しくお酒を飲む人を見ていると、「あんな風に飲んでみたいな…」と思うこともあるのではないでしょうか。

ところが実際に売り場へ行ってみると、「大吟醸」「本醸造酒」「原酒」「新酒」など、細かい違いが!冷蔵庫に入っているものや常温のもの、濁っているもの…。違いがありすぎて、どれを選んでいいかわからない方も多いのでは?

この記事では初心者目線で、迷いやすい日本酒の表記や選び方をまとめてご紹介します。

日本酒と焼酎の違い

まずは日本酒と焼酎の違いから見ていきましょう。

日本酒は米と米麹をアルコール発酵させて作る「醸造酒」です。

一方で焼酎は「蒸留酒」、醸造酒を原料にしてアルコール分を濃縮させたものを指します。そのため、焼酎の方がアルコール度数が高くなります。

日本酒を蒸留し、アルコール度数を高めたものが米焼酎です。

醸造の違い

日本酒は純米酒、本醸造酒、普通酒の3種類に分けられます。風味や好みが大きく分かれるので、まずはここを見てみてください。

さらに「精米歩合」によってランクや金額が異なってきます。精米歩合は玄米から何%までお米を削るかをあらわした数値で、削る部分が多いほどランクの高いお酒になります。ただ、精米具合はその年のお米の出来具合によって変えているメーカーも多く、記載がないことも多いです。

純米酒

・純米酒(精米歩合70%以下)
・特別純米酒(精米歩合60%以下は純米吟醸酒、50%以下は純米大吟醸酒とよばれる)

純米酒の原材料は「米、米麹」の2種類です。お米のような香りがするのが特徴です。

なかでも玄米を50%以下の重量まで削って作る「純米大吟醸酒」は最高ランクの日本酒とされ、贈答用などに用いられます。「獺祭」などが代表的です。

本醸造酒

・本醸造酒(精米歩合70%以下)
・特別本醸造酒(精米歩合60%以下は吟醸酒、50%以下は特別吟醸酒とよばれる)

本醸造酒の材料は「米、米麹、醸造アルコール」の3種類です。醸造アルコール(重量の10%以下)が入っているのが特徴です。

醸造アルコールとはさとうきびなどを醸造して作る純度の高いアルコールのことです。米と米麹を発酵させている途中で醸造アルコールを添加することで、「吟醸香」と呼ばれる特有のフルーティーな香りが出てくるのが特徴です。

普通酒

精米歩合70%以上の米を使っている、または醸造アルコールを重量の10%以上添加しているものを総称して普通酒と呼びます。「日本酒ではあるが、純米酒でも本醸造酒でもないもの」です。

甘口・辛口の違い

日本酒の飲み口を大きく左右するのが甘口・辛口です。

お米をアルコール発酵させるとき、お米に含まれる糖分を少し残した状態で発酵を止めるのが甘口、糖がほぼ分解されるまで発酵させたたものが辛口です。

甘口

口当たりがやわらかいので、日本酒初心者や普段は甘いカクテルを飲む人におすすめです。

ブリの照り焼きなど味の濃い食べ物、特に「みりん」を使っている料理と相性がいいです。

辛口

きりりとした飲み口で、いわゆる「飲兵衛」に好まれます。

お刺身のような淡白なお料理や、イカの塩辛のような塩辛い食べ物ともよく合います。

加水の有無

日本酒の多くは飲みやすいよう、割水とよばれる水を足しています。

水を足さないものは「原酒」と呼ばれ、普通の日本酒に比べてアルコール度数が高く、パワフルな飲み口になっています。

火入れの違い

日本酒には冷蔵庫に入って売られている種類と、常温で売られている種類があります。これは基本的に火入れ(熱処理)をしているか、していないかで分かれています。

日本酒は基本的に2回、酵母を殺して発酵を止めるためや、殺菌のために熱処理をしています。これを行わない、あるいは1回だけ行っているお酒があります。こんなお酒は鮮度が命!必ず冷蔵保存し、開栓後は早めに飲み切りましょう。

生酒

一度も火入れを行わないお酒です。フレッシュな風味が楽しめますが、必ず冷蔵庫で保管を。直射日光も厳禁です。お酒の中では発酵が続いているので、どんどん味が変わってしまします。

生貯蔵酒

出荷前に一度だけ火入れを行うお酒です。フレッシュな味わいながら、生酒に比べると品質が安定しているのが特徴です。

ひやおろし

秋に飲めるお酒です。冬に仕込んだお酒を、春先に樽へ移すときに火入れし、そのまま秋まで寝かせて熟成させたお酒です。本来は出荷前にもう一度火入れをしますが、火入れせずに「生」で出すのが特徴。熟成された旨味と、最後の火入れをしないフレッシュさが持ち味です。

熟成の度合い

2〜3月くらいになると、酒蔵の軒先に青々とした状態で飾られる「杉玉」。これは「今年も新酒ができました」という合図で飾られるものです。

日本酒はできたての新酒としばらく熟成させた古酒、どちらでも楽しめるお酒です。新酒と古酒の違いについても見ていきましょう。

日本酒の「年度」は7月1日から始まります。前年の7/1〜6/30までの1年間に仕込みから出荷が行われるお酒を「新酒」、年度をまたげば「古酒」と呼びます。

新酒

普通は秋に収穫されたお米で仕込みが始まり、2〜3月にお酒ができます。2〜3月から6月30日までの間に出荷されたお酒を「新酒」と呼びます。

新酒は爽やかな風味と香り、軽やかさが持ち味です。

古酒

前年に仕込んだお酒は、7月1日以降「古酒」になります。熟成期間が1年でも数十年でも、すべて同じ「古酒」の扱いになります。

長く熟成された古酒は琥珀色を帯び、角が取れて深い味わいになります。

見た目の違い

濁っていない、無色透明なお酒はすべて「清酒」です。

清酒以外のお酒、にごり酒などを見ていきましょう。

にごり酒

日本酒は途中でもろみ(米や米麹が発酵してドロドロになったもの)をこして、日本酒と酒粕に分ける工程があります。このときにわざと目の粗い布でこしたり、そもそもこさないで作ったりすることで、にごり酒ができます。

すっきりした清酒とは一味異なるコクが魅力です。

・おりがらみ
わざと目の粗い布でこすことで、もろみの一部「おり」を残した日本酒です。うっすら白くにごっており、コクのある風味が楽しめます。

・活性にごり
にごり酒の中でも火入れを行わず、酵母が生きた状態で入っているのが「活性にごり」です。生きた酵母が瓶詰めにされているため、瓶の中でアルコール発酵が続いており、アルコール発酵の副産物である炭酸ガスが発生して微炭酸になっているものもあります。

・どぶろく
一度もこさずに、もろみをそのまま残したお酒です。法令的には日本酒ではなく「その他の醸造酒」扱いになり、価格も少し安いのが特徴です。

スパークリング 

スパークリング日本酒は日本酒を飲み慣れていない方でも飲みやすく、近年人気になっています。

・アルコール発酵の副産物の炭酸ガスを、密閉容器で作ることで閉じ込めている
・日本酒に後から人工的に炭酸ガスを加えている

主にこの2つのパターンで作られています。

ピンク日本酒

ピンク色の日本酒で、透明なものやにごり酒、スパークリングなどさまざまな種類があります。着色料を使っているわけではなく、紅麹とよばれる赤い麹菌を使って作られます。

お花見やお祝い、パーティーなどで人気を集めています。

飲み方の違い

日本酒は冷やしても、温めても美味しく飲めるお酒です。

香りを楽しみたいお酒は冷酒、コクや風味を楽しみたいお酒は熱燗が向いているとされます。一般に純米酒や生酒は冷酒向き、本醸造酒は熱燗向きといわれています。

お酒のパッケージにはよく「冷酒向き」「熱燗向き」などと書いてあるので、見てみてください。

・冷酒(〜10℃)
・冷や(15〜20℃)
・ぬる燗(40〜50℃)
・熱燗(50〜55℃)

食べ合わせ

様々な違いがある日本酒。おつまみに向くものもそれぞれ異なります。

純米酒と本醸造酒

純米酒にはお米と合うようなしっかりした味の食べ物、本醸造酒には冷奴やお刺身などあっさりした食べ物がよく合います。

甘口と辛口

甘口は「みりん」を使っているような甘辛い料理、辛口は淡白な料理や塩辛い食べ物がよく合います。

原酒

お酒そのものの美味しさを味わうのがおすすめ。飲み比べ用としても人気です。オン・ザ・ロックやカクテルベースにも。

生酒

フレッシュさが命の生酒。よく冷やしてお刺身や生野菜と合わせてみてください。

新酒と古酒

新酒は生酒と同様に、お刺身や生野菜などフレッシュな食べ物がおすすめです。古酒は酒盗のような、くせのあるおつまみがよく合います。

にごり酒

にごり酒にはチーズや白子など、濃厚クリーミーなおつまみがよく合います。

スパークリング

スパークリングワインのように楽しめます。ハムやカルパッチョなど洋風のおつまみと相性がいいです。

冷酒と熱燗

冷酒は特にこれといって合うものはないので、他の特性に応じて選んでください。

熱燗にはおでんなど、体が温まりそうなおつまみが王道です。

日本酒を学んで楽しもう

初心者にはなかなか区別の難しい日本酒。「こんなに種類があったのか!」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

同じ名前で何種類も売られていたりする日本酒。同じ名前とお米を使っていても、作り方で味わいが大きく変わります。

ぜひ好みの一本を見つけてみてください。

 

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