60歳になった人をお祝いする還暦祝いは、日本の伝統行事です。家族に還暦を迎える人がいる場合、記念日としてお祝いしてあげましょう。
還暦祝いは、還暦を迎える人の大切な節目を祝う目的だけではなく、これまでの感謝の気持ちを伝えたり、普段は離れて暮らす家族が集まるきっかけになったりします。
ぜひ還暦祝いの食事会を開いて、親族や親しい友人を招き、忘れられない記念日として喜んでもらいましょう。
この記事では、還暦とは何かというところから、その風習やマナー、準備や当日の流れなどについても紹介します。
目次
還暦とは?
還暦の「還」には「もどる」といった意味があり、「暦」は干支(えと)を指します。
60年で十干十二支で数えて生まれた年の干支に戻るため、「還暦」といわれます。
「十干(じっかん)」は、天干(てんかん)とも呼ばれ、甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)の10の干支(かんし)のことを指します。これらは、木・火・土・金・水の五行思想に基づいています。
「十二支(じゅうにし)」はご存知の方も多いと思いますが、地支(ちし)とも呼ばれ、子(ね、し)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)の12の動物の年支のことを指します。これらの12の支を干支と組み合わせて年を表現するために用います。
10年で一周する十干と、12年で一周する十二支なので、60年目で初めて同じ組み合わせになるわけですね。
例えば、2023年に還暦を迎える人は、1963年生まれで、この2つの年号の十干十二支は同じになります。十干は10番目の癸(みずのと)、十二支は卯(うさぎ)なので、合わせて癸卯(みずのとう)となります。
なお、還暦の年の数え方ですが、満年齢で60歳(数え年の61歳)の年を指します。古くからの風習なので「満年齢? 数え年?」と迷われるかもしれませんが、一般に満年齢で数えます。ぜひ60歳のお誕生日前後でお祝いをしてください。
還暦祝いの風習とマナー
還暦祝いは、古くから行われている風習です。還暦祝いとは具体的にどのようなことをするのか、詳しくチェックしていきましょう。
赤いものを身に着けて長寿を祝う
還暦を迎えた方へのお祝いとして、赤いものをプレゼントするという習わしがあります。昔から赤い色には魔除けの効果があるとされているため、今後の健康とさらなる長寿を祈念する意味があるとされています。還暦祝いの風習は中国から入ったものであり、日本では奈良時代に始まりました。
還暦は先述した通り「干支が戻る」という意味があります。一周して還ってくるということで、昔の赤ちゃんが身に着けていた赤い頭巾やちゃんちゃんこを着るようになりました。昔は、赤ちゃんの着る服は魔除けの意味を込めて赤いものを着用していたのだそうです。
還暦祝いのプレゼント
こうした背景から、還暦祝いには「赤」にまつわるものを贈る風習があります。
古くからの風習では、赤い頭巾やちゃんちゃんこを贈るのが一般的でしたが、現代では普段使いできる物を贈ることも多くなっています。
頭巾・ちゃんちゃんこから転じて、身に着ける衣類やストールなどを贈るのも人気でしたが、原色の赤は実際かなり派手なので、身につけるのをためらう方もいらっしゃいます。そこで還暦を迎える方の趣味や仕事にちなんで、赤い食器や赤ワイン、赤い花束などを贈るのが人気になっています。
また赤に限らず、長寿のお祝いとして健康グッズや旅行券など、当人がもっとも喜ぶものを贈るというのも一般的になってきています。
現代の還暦祝いのマナー
人生50年と言われていた時代とは違い、最近の60歳はまだまだ元気です。現役で仕事をしている人も多く、高齢者扱いは厳禁です。「長寿祝い」というより、これから人生折り返し、くらいの気持ちで、節目を共に祝うような方向で会を催すと良いでしょう。
還暦祝いの食事会をしよう【準備編】
還暦祝いに特にルールはありません。主役となる方の性格や社会的地位によっても異なります。プレゼントを贈るだけのシンプルなものから、全社あげての壮大なパーティーに至るまで、さまざまなやり方があります。
もっとも一般的なのは「いつもより豪華な誕生日」くらいのイメージです。身内や親しい人が集まり、食事会をしてプレゼントを贈るのが定番です。
ここからはお祝いの食事会の事前の流れを紹介します。
主催者を決める
還暦祝いをする際には、還暦を迎える方のお子さんが主催者になることが多いようです。招待する人を決め、いつ食事会を開催するのか、どのような食事会にするのかを決めます。
家族や親戚以外の人も招く場合には、招待した人達がリラックスして楽しめるよう、食事会当日の段取りも決めておくことが大切です。
日程を決める
還暦祝いの日程は、還暦を迎える誕生日の前後に行います。
遠方の親戚や友人を招待する場合、年末年始やゴールデンウィーク、お盆などに行うことも多いです。
還暦祝いのタイミングについて明確なルールはないため、本人の周囲の人の都合が良い日を選ぶようにしましょう。
誰を招待するか決める
還暦祝いは、家族や親戚のみで行うことが多いようです。
しかし、仲の良い友人や知人、同僚を招待するケースもあります。還暦祝いの食事に誰を招待するのかは、還暦を迎える方と家族で相談して決めましょう。
食事会の場所を決める
子供が親の還暦祝いをする場合は、実家や主催者の自宅で食事会をするのも良いでしょう。
会社の同僚や友人知人を招待する場合も、自宅であれば気負わずリラックスして参加できます。
また、家族でよく訪れていたレストランやホテルなどを選ぶのもおすすめです。
還暦を迎える主役が楽しめるかどうかを重視して食事会の場所を選びましょう。
ワンポイント:還暦祝いのお祝いメニュー
還暦祝いで食べる料理に明確なルールはないため、還暦を迎える方が好きな料理を用意しましょう。
縁起物の赤飯や鯛、長寿を願うエビを使用した料理などはお祝いらしさが出ます。
還暦祝いの食事会をしよう【当日編】
ここからはお祝いのお食事会当日の流れについて紹介します。
開会のあいさつ
身内でのひっそりとしたお祝いなら、普通の誕生日と同様のお祝いの言葉に加え、「還暦おめでとう」「長生きしてね」といった趣旨のメッセージを言葉や手紙、寄せ書きなどで伝えるといいでしょう。
友人や同僚も招いたもう少し規模の大きいものになるなら、もう少しかっちりとした「開会のあいさつ」が必要になるかもしれません。しかるべき人に事前に挨拶をお願いしておくと進行がスムーズに行えます。
ご馳走やお酒を前に、入れ替わり立ち替わり長々とスピーチが続くのも残念ですので、開会の挨拶のあとは、乾杯の音頭と共に早めに食事をスタートさせると良いでしょう。
食事が一段落したら進行を再開
食事がある程度進み、場の空気がいい感じで盛り上がってきたら、司会役が会の進行を再開します。まずは参加した人たちからのお祝いの言葉、子供や孫たちからの贈り物や贈る言葉、余興などで場を盛り上げましょう。
一通り参加者からのお祝いイベントが済んだところで、還暦を迎えた主役から挨拶をもらいましょう。集まってもらったお礼に加えて、人生まだまだこれからといった感じで今後の豊富を語ってもらうと前向きで好印象の会になります。
自宅で還暦祝いの食事会を催し感謝の想いを伝える
レストランや料亭を利用するのも良いですが、自宅で還暦祝いの食事会をするのもおすすめです。
自宅での食事会は、時間を気にせずゆったり過ごせること、小さな子どもや高齢者がいても気兼ねがいらないこと、アットホームな雰囲気になることがメリットだといえます。
参加者が多くて料理を準備するのが大変な場合は、自宅にシェフを招く「出張シェフサービス」がおすすめです。お寿司や和食、イタリアンやフレンチなどジャンルも豊富で、主役のお好みに合わせて選べます。後片付けまで任せてしまえますので、すべての参加者が心置きなくお祝いに専念できるのが良いですね。