食事マナーは国によって違います。フランス料理やイタリア料理、中国料理、韓国料理など、外国の食事マナーについてはいろいろなところで言及されていますが、日本の食事マナーは、日本人にとって当たり前すぎるからか、ネットなどを見ても実はあまり情報が充実していません。
箸の使い方や器の持ち方など、基本的な所作や食べ物に対する考え方などは、各家庭や保育園、学校などで教えられていると思いますが、日本食のマナーは、私たちが普段当たり前のように行っていること以外にも、結構あります。
この記事では、そんな日本食のマナーを改めて確認していきます。知っていることはさらに詳しく、知らなかったことは発見して、外食や会食の際などに楽しく美しく食事できるよう、知識を更新しておきましょう。
目次
日本食の食事マナー:仕草・所作
周囲の人も含めて美味しく食事をするために、最低限の食事マナーをおさえておくことが大切です。日本食のマナーの基本について確認しておきましょう。
手を拭くとき以外におしぼりを使わない
飲食店で食事をする際には必ずといって良いほどおしぼりが提供されます。紙おしぼりや布おしぼりなど、お店ごとに種類に違いはありますが、提供されるおしぼりはあくまで手を拭くためのもので、口やテーブルを拭くのはマナー違反にあたるため注意しましょう。
食事の前と食事の後は手を合わせる
日本の食事マナーでは、食事の前と食事の後に手を合わせて挨拶をすることが一般的です。食事の前には「いただきます」、食事の後には「ごちそうさま」と手を合わせて挨拶をしましょう。
「いただきます」と「ごちそうさま」は、食事を作った人、食材を育てた人など、自分が食事をいただくために関わった人たちへ感謝を伝える意味があります。
また食事は魚や肉など他のいきものの命をいただく行為でもあるため、いきものに対して感謝するという意味合いもあります。
箸の使い方
箸の使い方を間違えると、一緒に食事をしている人が不快に感じたり、不潔な印象を与えたりするため注意が必要です。
箸を握るように持ったり料理に箸を立てて食べたり、どの料理を食べるか迷って料理の上で箸を動かしたりするのはやめましょう。また、お皿を箸で引き寄せる行為や、箸についた食べ物を舐めて取る「ねぶり箸」もマナー違反です。
マナー違反となるお箸の使い方
- 刺し箸:料理に箸を突き刺して食べること
- 迷い箸:何を食べるか迷って料理の上で箸を動かすこと
- 寄せ箸:お箸を使って器を引き寄せること
- ねぶり箸:箸先を口に入れて残った食べ物を舐めること
- にぎり箸:握りしめるような箸の持ち方
- わたし箸:食事中、小鉢や皿の縁に箸を渡すように置くこと
- 逆さ箸:料理を取り分ける際、箸の反対側を使うこと
食べ終わった食器は重ねない
飲食店で食事をする際に、食べ終わったお皿を重ねている方も多いのではないでしょうか。お店の人が運びやすいようにと重ねる方がいますが、マナー違反になるため注意しましょう。
お皿を重ねると、お皿の底に汚れがついたりテーブルが汚れたりするため、食べ終わったお皿は重ねないのがマナーです。
食べたものを皿に戻さない
食べかけのものをお皿に戻したり、口に運んだものをお皿に戻したりするのはマナー違反です。食べかけのものは噛んだ後が見えるため、一緒に食事をしている人に不快な印象を与えることがあります。
噛み切らなければならない料理は仕方がないですが、箸で切れるものは箸で切ってから食べるようにしましょう。
手のひらでお皿を作る
ご飯を食べる際に、手のひらをお皿の代わりにする仕草もマナー違反です。日本食では、小さなお皿を持って食べることがマナーです。
例えば、醤油をつけて食べる料理の場合は、醤油の小皿を手に持ち、料理を口に運びましょう。
お椀の蓋は元に戻す
汁物などを蓋付きのお椀で提供されることがありますが、蓋を開けて中のものをいただいた後は、蓋を元通りにかぶせましょう。裏返しに被せるのはマナー違反です。
食器の上に箸を置かない
食事中に箸を置きたい時は箸置きを使いましょう。箸置きがないときに箸袋を折って箸置き代わりに使っている人を見かけますが、あれは作法として正解です。箸置きがないからとお椀の縁などに箸を置くのは渡し箸といってNGになりますので注意しましょう。
箸の反対側を使わない
大皿から料理を取り分ける際などに、自分の箸の反対側を使う人がいますが、その所作も逆さ箸といってNGになります。取り分け用の箸を用意するのが正しいですが、それができない場合は、普通に箸を使って取り分けるか、各自で大皿をつつくようにするのが作法です。
使っていない側の箸を使うのは一見清潔なようにも思えますが、手というのは本人が思う以上に汚れているものであり、箸の手で持つ部分で取り分けるというのは手で取り分けるのと同じになるとの理屈で不快に思う人も多いので注意しましょう。
日本の食事マナー:食べ方
他の国では問題がないことであっても、日本ではマナー違反になることがあるため注意が必要です。そこで、日本食の食べ方のマナーについて紹介します。
汁物は音を立てて食べる
汁物やそば、お茶など、日本食の温かいものは音を立てて飲んだり食べたりすることが正しい食事マナーです。
しかし、全ての汁物を音を出して食べたり飲んだりして良いわけではありません。
また食べ物を噛む音を出すのはマナー違反です。
音を出して食べたり飲んでも良いのか判断できない場合には、音を出さずに食べた方が良いといえます。
食事を残さない
日本の食事は、全て食べきることがマナーです。全て食べることによって、料理を作った人や食材への感謝を表します。
食物アレルギーやどうしても食べられないものがある場合は、飲食店で注文する前に使ってる食材を確認することで、残さずに食べきることができるでしょう。
予想以上に量が多く満腹になってしまったときや食べきれない場合は残しても良いですが、料理を作ってくれた人に対し「美味しかったです」といったお礼を伝えるようにします。
味が薄い料理から食べる
日本食だけではなく、基本的に料理は味が薄い料理から食べるのがマナーです。味が濃い料理を食べると、デリケートな風味や味付けを感じにくくなるためです。
そのため、おかずは後にして、最初に汁物から食べるようにしましょう。汁物の次にお米、おかず、副菜の順番で食べるのが食事マナーです。
魚は左側から食べる
これは魚に限りませんが、出された料理は盛り付けの左側から食べるのがマナーとされています。焼き魚などは通常左側に頭が来るように配膳されます。食べやすいからと真ん中のお腹の部分から食べ始めたり、尻尾の方から食べるのはNGです。
自宅でも食事マナーを守って日本食を堪能しよう
日本の食事マナーは、箸の使用方法や料理を食べる順番など様々なものがあります。一緒に食事をしてる相手に不快な思いをさせないためにも、可能な限りマナーを身につけることが大切です。
食事マナーに不安がある方や、小さな子供がいて飲食店で食事をするのが難しい方は、シェフくるを利用して自宅で日本食を堪能するのもおすすめです。
シェフくるでは、日本食の料理人も数多く登録しており、自宅で本格的な料理を楽しめます。
自宅で料理を食べる際にも食事マナーを意識して、プロが作る日本食を堪能しましょう。